チーズ工房Cacioは、イタリアチーズの製造を専門とした、とても小さな工房です。
2022年11月に、福岡県嘉麻市でスタートしました。
チーズ作りの朝、オーナーが工房に生乳を持ち帰ると、すぐに作業がはじまります。
原料となる生乳は、工房からほど近い嘉麻市内の江藤牧場さんから、毎朝しぼりたての新鮮なものを仕入れています。
Cacioではフレッシュタイプと熟成タイプのどちらも作っていますが、チーズが形になってからも、毎日のチェックや、温度、湿度の管理などに気を配り、日々見守っています。

CacioのオーナーSimone Currentiについて

チーズ工房Cacio代表 Simone Currenti(シモーネ・クレンティ)
ミラノ出身

-なぜこの旅をはじめたのですか?
よく聞かれるのですが、私の住んでいた環境にその理由があるように思います。
私の家族はミラノでチーズ屋さんを営んでおり、その世界を間近で見ることができる環境にいました。
その時私はまだ小さかったのですが、それぞれの形や香り、味や食感などがとても魅力的で、芸術のようなものに見えていました。
イタリアでは、チーズ屋さんに入った瞬間、たくさんの香りに包まれ、いろんな色に囲まれ、目も楽しませてくれます。これは、五感を使った特別な体験です。
今でも熟成庫の扉を開くと、幼いころの懐かしい記憶がよみがえります。
私は日本の人々にも、同じように特別な体験をしてもらい、チーズの魅力をより多くの人々に知ってもらえたらと思っています。

―日本ではじめようと思ったきっかけは何ですか?
15年ほど前に初めて日本に来たとき、イタリアとほぼ同じものが手に入るのが当たり前だと思っていました。
最近では状況は変わりましたが、依然として新鮮で職人技の製品を見つけることはほとんど不可能です。
そのため、地元で生産し、製品を通じてイタリア文化を促進するという考えが生まれました。


―イタリアでチーズ作りの経験はありましたか?
農業学校を卒業しましたが、酪農場などで働く機会はなく、チーズ作りの経験もありませんでした。
ですが、2020年にチーズ作りの技術を学びたいと思い帰国して、数々の賞を獲得された経験のあるチーズ職人の先生のもとで学びました。
また、モッツァレラなどのパスタフィラータタイプのチーズは、南イタリア出身の先生から直接学ぶことができました。

―製造するチーズは、どのように選んでいますか?
イタリアには 400 種類以上のチーズがあり、それぞれに独自の特徴があります。
イタリアでよく使われているような、羊やヤギなどの生乳を使えば、違う味を作りだすことは比較的容易ですが
私たちが使用しているのは牛の生乳です。
同じ牛の生乳でも、私が好きなチーズの中で異なる風味を作り出せる、バリエーションが豊かなものを選んでいます。

―チーズを作る上で大切にしていることは何ですか?
私にとってとても大事なことの 1 つは、イタリアの小さなチーズ工房で見つかるのと同じ味を提供することです。
もう一つは、私たちのチーズには防腐剤や防カビ剤は一切使用せず、生乳、乳酸菌、塩のみを使用し、自然な味わいのまま提供することを大切にしています。

―普段チーズを食べ慣れていない方におすすめのものは何ですか?
人ぞれぞれ好みがあり、普段どのようなチーズを食べているかなどのバックグラウンドが異なるので答えるのは難しいのですが、食べなれていない方向けのチーズの特徴は、いくつかあります。
まずは、甘くてバターのような香りを持つ、柔らかいカチョッティーナを必ずお勧めします。
同じ熟成タイプのものであれば、イタリアではFormaggi alpini(アルプスチーズ) と言われる種類のもので、セミハードタイプのカステルディ嘉麻もおすすめです。ヘーゼルナッツやアーモンドを思わせる香りがあります。
どちらもチーズを食べなれていない方におすすめです。

―最後に、あなたはどんなチーズが好きですか?
好きなチーズは常に変化していくものだと思いますが、たまに、普段試さないチーズを久しぶりに食べてみると、新しい発見があります。
チーズの種類としては、私はロビオラやカステルディ嘉麻のようなタイプが好きですが、ゴルゴンゾーラなどの風味が強いブルーチーズも大好きです。